~建築物を通してまちの魅力を探る~

(今年のふれあい祭りでの出店風景)
初夏を思わせる青空が広がった平成22年5月9日、第33回東大阪市民ふれあい 祭りが盛大に開催されました。花園中央公園会場の一角に、ひと際目立つ、いくつのも傘で覆われた不思議なブースがありました。中では、木のおもちゃを組み合わせたりカーリングならぬ「木―リング」で板の上を木の廃材でできた丸型のストーンを投げたりして子どもたちとスタッフが一緒になって遊んでいました。こちらの出店者こそ、今回ご紹介する「建築士の会東大阪(愛称:わくわく建築倶楽部)」のみなさんです。…続く
<建物のことならお任せ!>
市役所、学校、神社仏閣…わたしたちの身近にあるさまざまな建築物。
みなさんは、こうした建築物をまじまじと見たことがあるでしょうか?「建築士の会東大阪」は、こうしたさまざまな建築物の観点からまちおこし活動や建築に関する啓発活動などを行っている団体です。同会は、(社)大阪府建築士会の一つで、東大阪市在住の建築士、もしくは在勤の建築士が集まって会員間の交流と情報交換などを目的に平成13年に結成されました。現在の会員は、約230人です。建築をテーマに地域に密着したイベントや啓発活動などを行っています。

<どんな活動をしているの?>
「建築士の会東大阪」の主な活動を3つ、ご紹介しましょう。
まず1つ目は、市内にある新旧さまざまな建物の見学会です。これまでに8ヶ所の建物を訪れました。例えば、鴻池新田会所や近畿大学実験棟、旭町庁舎など、ジャンルも建設時期も実にさまざまです。建築士のみなさんは、専門的な視点からその建物の文化や歴史、価値などを学んでいます。
2つ目は、「わくわく探検」と銘打ったまち歩きです。毎年年に1回開催され、今年で10回目。地域の歴史、文化遺産、観光資源などを訪ね、市の文化財課の職員が案内します。一般参加が可能なこのイベントには、市民に地域の良いところを再発見してもらいたいとの思いが込められています。市内には22の駅があることから、各駅でまち歩きを開催するのが目標です。
そして3つ目が、“東大阪市民ふれあい祭り”への参加です。参加するのは今年で3回目。今年は近畿大学建築研究会の学生らと協同で出店しました。冒頭でご紹介した傘で覆われたテントのアイデアは学生たちによるもの。1本の傘の中に誰かを招き入れるときのような近しい気持ちで、訪れた人たちとイベントを楽しみたいとの意味が込められています。傘は、建築士会のメンバーや学生から約200本集めて制作しました。またメンバーらは、合板を組み合わせたドームや竹を組み立てた竹ドームを制作。他にはないユニークな出し物で、子どもたちに大人気でした。

(ベニヤ板を合わせて作ったドーム。子どもたちに大人気!)
<建築士として見た東大阪>
「建築士の会東大阪」の代表幹事の川北武志さんと広報担当の仙入洋さんに活動内容についてお話を伺いました。
(インタビューに答える会長の川北さん(左)と広報担当の仙入さん(中央))
―まち歩き(わくわく探検)をしようとしたきっかけは?
仙入さん「地域にこんな所があったんやと思ってもらったり、まちの魅力を知ったりしてもらえれば。まちをよく知れば、大事にしたいという気持ちが生まれてくると思う。見る人によって感じ方が違うからいろんな人に見てもらって、地域を守るアイデアが出てきてほしい」
―市内で印象に残っている建物は?
川北さん「旭町庁舎です。築年数が若いということで文化財指定されないまま当初の利用目的を終えたことで利用価値がなくなってしまうことを憂慮しています。日本近代のモダニズム建築を代表する建築物にふさわしい利用のされ方が行われていくように強く願っています。このような近代建築の息吹を感じさせる名建築を造ることはもう出来ません」
仙入さん「町工場も産業遺産。文化財指定されてないけど、価値のあるもの。時代に合った新しい活用方法を提案していきたい」
町工場が産業遺産というのは、思いもよらなかった発想です。町工場が多く集積するわがまちは、それだけで価値のあるまちなのかもしれません。
<名建築を守り、市民が憩える活用を>
建築士としてこれからの東大阪について川北さんは、「市内に今点在する文化的にも価値のあるすばらしい建物達を大切に守り、活用してもらえれば。そして、古き良き建物に負けないような新しい建築物が造られていき、東大阪市が、美しく安全で魅力あるまちになっていくことを願っています」と話していました。
同会は、これまで建築士だけで活動を行っていましたが、今年に入ってからは近畿大学建築学部の学生とともにイベントを企画したり勉強会を開催したりして活動の輪を広げています。今後は、木造住宅の耐震化を一般の人々にPRすることや、秋にはまちあるき(わくわく探検)の開催などを控えています。ますますパワーアップする建築士会東大阪の動きに目が離せません!
(インタビュー後、ポーズを決める建築士会のメンバーのみなさん)
<インタビューを終えて>
取材は、建築士会のお二人が最も印象に残っている建物として挙げていただいた、旭町庁舎(旧枚岡市役所)で行われました。著名な建築家が設計し、現存する近代建築物としては非常に価値が高いそうです。いつも何気なく通り過ぎていた旭町庁舎が実はそれほどまでにすごい建物だとは全く知りませんでした。しかし、それほどすばらしい建築物がわたしたちのまちにあるって、とても誇らしいことだと思いませんか?よくよく見てみると、正面玄関上の大きく反ったひさしは空に飛び立っていくような迫力があり、同じく張り出した屋根のおかげでコンクリートが汚れずきれいなまま残っているのが分かります。その他にも、西洋で近代建築を学んだ建築家が西洋と和の様式を融合させた工夫が庁舎の随所にちりばめられています。
こんな風に“建築物”という視点で建物を眺めてみると、今までとは違った見方ができるということを教えていただきました。そして、文化的、歴史的価値のあるものを守り、次の世代に伝えていくために、一人でも多くの市民がこのまちの良さに気づくことが大切なのだと感じました。
坂倉準三建築研究所設計.JPG)
(平成21年9月に行われた旭町庁舎見学会の様子。大盛況でした)
「建築士の会東大阪」のホームページ:
http://www.aba-osakafu.or.jp/chiiki-gr/higashiosaka/